皆さん、アウトプットをしていますか?
アウトプットは非常に重要な習慣です。
しかし、「完全じゃないと公開できない」という思い込みから、アウトプットする手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、不完全でもアウトプットを行うことの重要性と、その習慣化のコツをお伝えします。
もくじ
まず、アウトプットには様々なメリットがあります。
- 考えの整理
文章を書くことで、自分の考えが整理されているかを検証できます。
文章にまとめる過程で、論理の飛躍や矛盾に気づき、考えを深めることができます。 - 知識の共有と蓄積
個人の中にとどめておいた知識は、他の人からアクセスできません。
アウトプットを通じて知識を共有し、チームの財産として蓄積することで、組織全体のレベルアップにつながります。 - フィードバックの獲得
アウトプットを公開することで、他の人からのフィードバックを得られます。
新しい視点や改善案を取り入れることで、自分の考えをブラッシュアップできるのです。 - モチベーションの維持
アウトプットは、自分の成長を実感できる手段でもあります。
学んだことや達成したことを可視化することで、やる気を維持し、さらなる成長につなげられます。
このように、アウトプットには個人とチームの両方にとって大きなメリットがあります。
しかし、「完全じゃないと公開できない」という思い込みが、アウトプットを妨げている現状があります。
大切なのは、たとえ不完全でも、アウトプットすることです。
途中であることを明記しておけば、そのまま共有して問題ありません。むしろ、完成前に突っ込みを受けられれば、手戻りが少なく済み、効率的に改善できます。
また、今の自分から見れば不要な情報でも、未来の自分や他の誰かにとっては価値ある情報かもしれません。
そもそも、完全なアウトプットなど存在しません。すべてのアウトプットは、常に改善の余地があるWIP(Work In Progress)なのです。
では、具体的にどのようにアウトプットを習慣化すればよいのでしょうか。
ここでは、アウトプットを習慣化するための4つのコツを紹介します。
- 小さく始める
習慣化のポイントは、小さく始めることです。最初から長文を書こうとすると、心理的ハードルが上がってしまいます。まずは、1日1つの気づきや学びを書くことから始めましょう。 - 時間を決める
アウトプットの時間を日課として決めておくことで、習慣が定着しやすくなります。
例えば、毎日の業務の最後の30分をアウトプットタイムに設定するのも良いでしょう。 - 継続を意識する
習慣化には、継続が何より大切です。完璧を目指さず、まずは毎日アウトプットすることを目標に置きましょう。たとえ数行でも、コツコツと積み重ねることが重要なのです。 - 仲間を作る
一人だと続けるのが難しくても、仲間と一緒なら頑張れます。同じ目標を持つ仲間を見つけ、お互いに励まし合える関係を築きましょう。
弊社では気になったサービスや技術・読書メモ、プロジェクトで困ったことの相談、知見の共有など様々な記事が日々アウトプットされています。
アウトプットを習慣化する上で、質の高いアウトプットを心がけることも大切です。ここでは、良いアウトプットと悪いアウトプットの例を比較してみましょう。
⭕️ 良いアウトプットの例 | ❌ 悪いアウトプットの例 |
---|---|
不完全でもいいので早くアウトプットする | 完璧なアウトプットを目指して時間をかけすぎる。 |
課題や問題点を明確にし、自分の考えや解決策を論理的に説明している。 | 自分の主観だけで述べており、根拠が曖昧。 |
具体的な事例やデータを用いて、主張を裏付けている。 | 内容が表面的で、深い洞察や独自の視点が感じられない。 |
読み手を意識し、分かりやすい表現や構成を心がけている。 | 文章が冗長で、ポイントが絞られていない。 |
昔とあるプロジェクトでフォントを指定してPDFを生成する必要がありました。
ローカルの開発環境では仕様通りにPDFが生成できましたが、ステージング環境ではフォントが正しく読み込まれずに解決に数日かかりました。
その際、「概要・目的、背景、関連資料、対応方法・解決までの経緯」を記載したドキュメントを作成しました。
数ヶ月後、別のプロジェクトで同様の問題が発生しましたが、以前作成したドキュメントに必要な情報が書かれているため、サッと読むだけですぐに解決できました。
- 概要・目的
システムから出力するPDFで複数のフォントを指定したい - 背景
出力するPDFのフォーマットが日本語、英語の2パターン存在する。言語ごとにフォントを変更する必要がある。
また、英語フォーマットでも日本語を出力する - 対応方法・解決までの経緯
- [課題1]
Helvetica-Regular、Helvetica-Boldのように同じフォントで異なるウェイトのフォントを指定すると表示できなくなる- 調査、対応
・調査を行い、php – WkhtmlToPdf multiple font faces / styles – Stack Overflow で以下の仕様が判明
・仕様
・同じフォントで異なるウェイトを使う時、「ファミリー名」が同じフォントが複数ある場合に1つだけ選択され、それを使用してレンダリングを行う
・ファミリー名は8文字以内にする
・同じフォントで異なるウェイトのフォントデータを使う時は、フォント編集ソフトで「ファミリー名」を「8文字以内」で「重複しない名前」
に変更してフォントを書き出す
- 調査、対応
- [課題2]
サーバー上でフォントファミリーの2つ目以降の指定が反映されず文字化けする
例:font-family: "HelveticaNeue-Bold", "HiraKakuProN-W6", sans-serif;
を指定すると2つ目のHirakakuが反映されない- 調査、対応
・調査:PDFをダウンロードし、文字化けしている箇所を確認。パスデータになっていてフォントが設定されていない。文字が表示されている部分は、font-familyの1つ目が指定されている
・back/.fonts
にフォントデータを格納すると文字化けが解消された
- 調査、対応
- [課題3]
herokuのslugサイズが超過してデプロイに失敗する- [調査、対応]
・slugサイズ削減方法を調査。How to Decrease Heroku Slug Size: WKHTMLTOPDF Edition で削減方法が判明
・wkhtmltopdf-heroku
を導入した
・日本語フォントを「常用漢字、人名用漢字、人名用漢字許容字体表、全角英数字、全角記号、半角英数字・半角記号、記号」でサブセット化
して、フォントデータ容量を削減した
- [調査、対応]
- [課題4]
英語フォーマットのPDFで指定した日本語フォントがPDFに反映されない- [調査、対応]
・調査:問答無用で1つ目に指定したフォントが適用される。英語フォーマットの場合、1つ目に英語フォントを指定している。2つ目以降の指定は無視される
・英語と日本語のフォントを合成したフォントを利用する
- [調査、対応]
- [課題1]
- 関連資料
・php – WkhtmlToPdf multiple font faces / styles – Stack Overflow
・How to Decrease Heroku Slug Size: WKHTMLTOPDF Edition
・wkhtmltopdfで明朝体フォントを指定したら、全く違うフォントで出力された話。
・FontForgeを使ってフォントを合成する【TTF,OTF】
・他、開発リポジトリのissueやPRへのリンク
良いアウトプットを生み出すためには、日頃から意識的に情報を整理し、自分の考えを言語化する訓練が大切です。また、アウトプットした後は、フィードバックを積極的に取り入れ、継続的に改善していく姿勢が求められます。
アウトプットを続けていると、日々の業務でも役立つことが多いです。
次にアウトプットを続けていて良かったこと、助けられたことを具体的に紹介します。
- 情報をすぐに引き出せる
プロジェクトの定例ミーティングで「とある機能の仕様はどうなっているのか」の質問に対して、すぐにドキュメントを共有しました。後ほど確認して議論を止めることなく、ミーティングの時間を最大限有効に使うことができました。 - 作業で詰まったとき、解決策がすぐに見つかる
開発を続けていると、Googleなどの検索ではすぐに見つからない問題で手が止まることがあります。
そういう時に社内の知見を溜めているドキュメントを確認すると、以前チームの誰かが残してくれたもののお陰で時間をかけずに解決するといったことがよくあります。
このように、日々のアウトプットが後々の自分自身や、チームメンバーを助けてくれます。
アウトプットにおすすめなのが、Scrapboxです。
弊社で利用しているScrapboxは、リアルタイム編集が可能、動作が軽快で非常に書きやすく、関係がある記事の相関を自動で作成してくれます。
思いついたことをすぐに書き留められるので、アウトプットの習慣化に最適です。
皆さん、不完全を恐れずにアウトプットを習慣化しましょう。そうすることで、個人としてもチームとしても、大きな成長を遂げられるはずです。
知識を共有し、互いに学び合うことで初めて、高度な技術力を発揮できます。
さあ、今日から積極的にアウトプットしていきましょう!
私たちは、お客さまの成功を共に作るシステム開発会社です。
システム開発といえば、「納期」や「納品物の品質」の先にある「お客様の成功」を共に考えた上で、システム開発を行っています。
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