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こんにちは!
ラジコード編集部です 😊
アジャイルサムライを読む連載記事もついにその3まで来ました!
前回まで第1部「アジャイル」入門を読み、アジャイル開発の概要とどういったチームを作るべきなのかを学習できました。
その3から「第2部 アジャイルな方向づけ」を読んでいきます。
それではよろしくお願いします!🙋♂️
本シリーズは「アジャイルサムライ − 達人開発者への道」を1〜5部を1~2記事に分け要点を解説していくシリーズです。全13記事を予定しています。
もくじ
第3章:みんなをバスに乗せる
プロジェクトがスタートする前からダメになる主な理由は2つある。
- 答えるべき問いに答えられない
- 手ごわい質問をする勇気を持てない
これらの理由への回答とプロジェクトへの期待をマネジメントするためのツール「インセプションデッキ」の紹介を行います。
新しいプロジェクトが始まった時点で、「成功の形」は人によってそれぞれ大きく異なります。
関係者全員で共通認識を持って開発を進めることが非常に重要になります。
そのために、以下の工夫が必要です。
- ゴールやビジョン、プロジェクトの状況や背景についてチームでよく話し合っておくこと。そうすれば、チームは状況に応じて適切な判断を下せる。
- ステークホルダーに情報を提供すること。彼らにはプロジェクトを続けるかどうかを決断するための材料が必要だ。
これを実現するには、尋ねたり答えたりするのを躊躇するような手ごわい質問をしないといけません。
プロジェクトが始まる前は、質問をする余裕があります。
余裕があるうちは以下のような質問も許されることでしょう。
- どれぐらい経験を積んでいるチームですか?
- では、あなた自身はこの手の仕事の経験はありますか?
- ご予算はどれぐらいですか?
- このプロジェクトを統括するのはどなたですか?
- 2人のアナリストに30人のプログラマという体制で何も問題ない、と仰るのでしょうか?
- お尋ねしたいのですが、過去のプロジェクトで、オブジェクト指向の経験がほとんどない新人開発者ばかりのチームを率いて、レガシーなメインフレームのシステムをアジャイル手法を使ってRubyonRailsでリプレイスするのを成功させた事例はございますか?
こういった手ごわい質問を考えるときの手助けになるツールが「インセプションデッキ」です。
インセプションデッキとは10の手ごわい質問と課題で構成されたものです。
プロジェクトの核心を煮詰めて抽出した共通理解をプロジェクト関係者全員へ手軽に伝えるためのツールです。
10の手ごわい質問と課題一覧を確認してみましょう。
- 我われはなぜここにいるのか?
何のために自分たちはチームを組むのか。自分たちの顧客は誰なのか。そもそもこのプロジェクトが始まった理由は何なのか。こうしたことを再確認する。
- エレベーターピッチを作る
30秒以内に2センテンスでプロジェクトをアピールするとしたら、何を伝えるべきだろうか?
- パッケージデザインを作る
何気なくめくった雑誌のページに、自分たちのプロダクトやサービスの広告が載っているとしたら、それはどんな内容がいいだろうか?それからもっと大事なのは、その広告を見た人は君のプロダクトを買いたくなるだろうか?
- 「ご近所さん」を探せ
「プロジェクトの関係者」に含まれる範囲というものは、自分たちが思っているよりもずっと広いものだ。そうした「ご近所さん」を招いて、コーヒーでもごちそうしながら自己紹介ぐらいしてもいいんじゃないだろうか。
- やらないことリストを作る
プロジェクトで実現したいことというのはかなり明確になっているものだ。それと同じかそれ以上に、やらないこともはっきりさせよう。そしてそれをわかりやすく一覧にするんだ。
- 解決案を描く
チーム全員の認識が揃っていることを確認するために、概要レベルのアーキテクチャ設計図を描こう。
- 夜も眠れなくなるような問題は何だろう?
プロジェクトで起きる問題のなかには、考えることすら恐ろしいものだってある。だが、あえてそうした心配事について話し合おう。どうすれば最悪の事態を避けられるだろうか?被害を最小限に食い止める方法はあるだろうか?
- 期間を見極める
どれぐらいの期間が必要なプロジェクトだろうか?3ヶ月?半年?それとも9ヶ月?
- 何を諦めるのかをはっきりさせる
プロジェクトにはいくつか操作可能な要素がある。期間、スコープ、予算、それから品質。現時点で譲れない要素はどれだろう?譲ることになるのもやむを得ない要素はどれだろう?
- 何がどれだけ必要なのか
期間はどれぐらいかかりそうか?コストは?どんなチームならプロジェクトをやり遂げられるだろうか?
必ずしもこれらの課題がすべてのプロジェクトに当てはまるわけではありません。
このインセプションデッキを出発点にして、他に適切な質問や課題がないか考えることが重要です。
「しかるべき人をみんな同じ部屋に集めて、プロジェクトにまつわる適切な質問をすれば、自分たちのプロジェクトに対する期待を共有して、認識を合わせることができるはず」
この考えをもとにインセプションデッキは作られました。
インセプションデッキを作成は、プロジェクトに直接関係する人物なら誰でも行えますが、特に重要なのがステークホルダーを巻き込むことです。
なぜなら、インセプションデッキは開発チームだけのものではなくプロジェクト全体に関係するものだからです。
数日から2週間程度でインセプションデッキを作成し、プロジェクトの見通しを立てていく。
状況や方針が大きく変わればそのタイミングで見直していきましょう。
本当に作るべきものを見失わないために。
以上「第2部アジャイルな方向付け:第3章みんなをバスに乗せる」でした。
この章で説明した「インセプションデッキ」は最初、方向を決めるときに一度決めたら終わりというものではなく、プロジェクトの進行状況によって見返す時間を作った方が、本当に作りたいものを見失わずに済みます。
次回はインセプションデッキを利用して、プロジェクトの全体像を捉え、具現化させる方法を読んでいきましょう😌
- アジャイル宣言の背後にある原則
- アジャイルソフトウェア開発宣言
- アジャイルサムライ − 達人開発者への道
オーム社 (2011/7/16)
著者:Jonathan Rasmusson 著/西村直人・角谷信太郎 監訳/近藤修平・角掛拓未 訳
月額固定・定額制でアジャイル開発を提供する「サブスクエンジニア」サービスを提供しています。よろしければご覧ください!