※『風立ちぬ』本編とは大きく設定が異なります。ご了承ください。
堀越次郎:都会の制作会社の新入社員として過ごす。
叔父さん:都会でウェブディレクターをしている。落ち込んでいる次郎を励ます。兄である次郎の父とは年齢が10歳離れている。
黒川さん:堀越の上司。期待の現れで堀越に厳しく接する。
仮配属期間を経てとあるチームに配属された堀越は悩んでいた。
黒川上司のもとで与えられた仕事をこなす日々。
案件の市場調査・分析、原稿の校閲といった地道な作業。
(サイト分析と言うけれど、何を比較すればいいのだろう?)
打ち合わせに参加し議事録を作成する。
(専門用語だらけで議論の中身がよくわからない・・・)
まとまりがなく長引く打ち合わせの議事録を作成しながら
(打ち合わせで何を決めればいいのか)
(打ち合わせはどう進めればいいのか)
(そもそも、打ち合わせは何のためにするのか?)
などと疑問に思うこともあった。
メールでクライアントに連絡するときも、説明が不十分で分かりにくい内容になってしまい、先輩がサポートのメールを送ってくれてことなきを得たこともある。胃が痛む。
構成案を作成したときは
「誰のためにサイトを作るのか?」
「その人が必要としている情報はどういったものか?」
「商品を買ってもらうにはどうすればいい?」
何回も何回も見てもらうがなかなかOKを貰えない。
クライアントからの修正が五月雨のように飛んでくるっ!
終わらない修正、取りもらす指示、チームメンバーへの作業をうまく伝えられない!!!
「この資料を見ても次どうしたらいいか決められない」
「この企画書、説明されても分からない」
「頼んでいたあれどうなってる?」
うわあああぁぁぁぁぁ!
自分はまだまだ知らないことが多すぎる。
(まだ新人だから許されているけどこのままじゃヤバイ・・・)
「どうした、次郎。珍しく落ち込んでいるじゃないか。どうさ、久しぶりに飯でも行こう」
「おじさん」
「昔言ったことを覚えているか?」
ディレクターとは、「監督」や「指揮する人」。
お客さんがやりたいことを聞いて、仕事をする人達に伝えて、ウェブサイトを作る。
たくさんの人と巻き込んで一緒に前に進めていく。
「たしか、こうだったよね。」
「そうだ、よく覚えていたな。」
ディレクターとして上手くやっていくために学ぶべきことは数多くある。
一度にすべてを勉強しながら実践を積んで成長できれば、それがベストなんだろう。
でも自分はそれほど器用じゃない。
「まずはできることを確実にこなす。次のステップとしてこの3つを意識していけばいいんじゃないか?」
- ユーザー視点で比較を行う
- 比較したら、クライアント視点で意味をつけて提出
- ただサイトを見るだけでは仕事じゃない。クライアント視点で比較結果を言えることが、分析という業務
- サイトを見る際は常に「ユーザー視点、クライアント視点」を意識する
- 「見るべきポイントがわかる」「次のアクションがわかる」ための、行動してもらえる資料を作る
- 見た目も大事だが、その資料が見た人にどう伝わり、どう行動してもらえるかを念頭に置くこと
- 打ち合わせは何かを”決める”ためにする。何を決めるのかも、自分で考えて決める
- 打ち合わせで決めることから逆算して、打ち合わせの内容、進め方を考える
「そしてこれが一番大事なことだ。」
分からなければ人に聞くことも大事。
思い返すと自分が失敗をしたことでプロジェクトのことを周囲にも相談しづらくなり、わからないまま業務を抱え込んでいた。
今やっている作業がなんのために必要か正しく理解しないで、とりあえず先輩に言われたからやっていたことを自覚した。
「失敗は自分を成長させるためのエンジンだぞ、次郎」
背中をとんと叩き励ましてくれたおじさんを見送り、堀越は決意を新たにするのだった。
つづく